アジアで就職したらブラック企業だった~南の島は蟹工船~

東南アジアでブラック企業に就職し、ストレスから入院し逃げ帰ってきた人間のブログ。        注・このブログはモデルとなった現地企業で働く人々などへの取材をもとにしたフィクションです。ただ、実際に起きている「空気感」は本物です。その辺りを味わっていただければと思います。

インドネシアについて

 「なんだよ!たった1年の滞在期間で人様に指南するのか!図々しいやつだ」との批判が飛んできそうな私も、皆さんと同じく海外就職に胸を高まらせていた。なぜインドネシアを勤務先に選んだかというと、「知らない」ということが大きい。私は学生時代に中国に留学や旅行していた経験から、大陸は永住するには厳しそうだという感覚を持っていたので、島国で戦中戦後の日本と深い関わりを持ったインドネシアに興味を持ったのだった。

 インドネシアに着いて初めての印象は、すさまじくいい加減で無責任ということだった。日本では電車を初め、予定通りに物事が進むが、インドネシアではタクシーの運転手が目的地を知らないのに知ってると言って困らすわ、釣り銭は持ってないわ、会議は3時間遅れるわ、逆に早まるわ。また、全体として人々が子どもっぽいのだ。ミスをしてもかわいらしい笑顔でごまかそうとするし、昨年にあった燃料補助金の削減の法案を国会で議決する際には議員たちがまるで小学校の学級会のように、「おい、あいつ賛成に入れたみたいだぞ」とか言って国民にきわめて大きな影響を及ぼすことを明るく(?)決定していたのを思い出す。

 ただ、非常に腹立たしく思う反面、多分、彼らがこんな風なのは失敗しても許してくれるようなところがこの国にはあって、うらやましかった。同時に時間を守るということは、結局のところ、社会の奴隷度が高いということでもあって、守れるからといってそれ自体が必ずしも人間の幸福につながっていないとも思った。(ちなみに西欧で資本主義が発達したのは、機械時計が時間を均質化して作業を効率化したからだ。時間と資本主義は密接に関係している。)