これが本当の道徳だ!ジョージ秋山に学べ!
最近、生ぬるい作品があらゆる表現を通して多いが、ジョージ秋山の漫画『捨てがたき人々』はそんな道徳をなぎたおす。
この漫画は、「人生に飽きた」というどうしようもないダメ男が主人公。トラック運転手をしていたが事故で首になり、自分の容姿への劣等感から美人にからんだりイタズラしたり、はっきりいってろくでなし。
そんな主人公だったが、新興宗教に熱をあげている弁当屋の娘をほぼむりやり犯したことをきっかけに、その娘と結婚し、子供を生むことになる。
娘の宗教団体の幹部が経営する工場につとめた主人公は、相変わらずろくでなしだが、結婚生活を営んでいく。
大まかなストーリーはこんな感じなのだが、この話、なんせやりまくりなのだ。それも退廃的な形で。
よくある美男美女のラブストーリーなどではなくて、あくまで不細工で社会的地位がない男女が主人公。
ジョージ秋山はどうしようもない人間がどうしようもない人生を送るというストーリが好きなのだが、この話もそう。
冒頭から、「人生に飽きた」というが、私はこれはほとんどすべての人間にとって真実だろう。
また、「人間、難しいこといっても考えてるのは、セックスと食べものと金のこと」というのは痛快だ。
ジョージ秋山の作品に通じるのは「人間は生まれさせられた」のであり、「人生は苦で退屈なもの」という世界観だ。
そういう真実を基にして書かれた作品だから、小市民生活を送る我々の芯に突き刺さる。
ジョージ秋山は映画化された『銭ゲバ』が有名だが、 またそれは改めて。