やはり日本は文化的貧困。『ブラよろ』の佐藤秀峰さんを応援したい
私は一応フリージャーナリストとして仕事をしているから、よくわかる。業界に関係なく、自営業でこの国で生きていくのがどんなに困難かを。
つまり、大企業の下には下請けというシステムの中では、自営業者が独自性を出していく財力も考え方も出てこないのだ。
女子サッカーもそうだが、「好きでやっているから何もしなくていい。夢に向かって自分で選んだことだから自己責任」というあまりに非情な考え方で苦労した。
確かに、本人がどうしても好きで好きでしょうがない気持ちは誰にでもあって、それは困難を乗り越えていく力にはなるかもしれないが、志のある人たちが社会的に認知されるように社会的な支援を整えることの方が大事ではないだろうか?
なんの手助けもしないで何か出てきたら持ち上げて、あげく吸い取るだけ吸い取ったらポイなんてあんまりだと思う。
漫画会でも事情は同じなようで、『ブラックジャックによろしく』という名作を書いた佐藤秀峰さんの『漫画貧乏』に詳しく書かれている。(キンドルで、なんと今ならタダでダウンロードできる)
これによると、出版社が制作費に対してお金を支払わないのが当然であるような業界の慣習や、アシスタント費用など経費が負担となって才能のある漫画家を追い込む仕組みができていると分かる。
佐藤さんはそんな出版業界の中で、自ら漫画を販売するシステムの「漫画onweb」
を立ち上げ、挑戦している。
話題となった『ブラよろ』の全13巻の無料ダウンロードも、知名度を上げるための戦略で版元とはもめたようだ。
佐藤さんの漫画は既存の体制に対し、疑問をぶつけて改革していく主人公を描くことが多いように思う。
こういう取り組みはぜひ応援していきたい。