アメリカ政治を知らないと、だめでちゅ
なんだかんだいってもアメリカは大国だ。
基本的にそれなりのインテリなら、アメリカについて何らかの意見を求められる。
ということで、今回は最近のアメリカについて述べた本の一部を紹介。
とりあえず、基本的なアメリカの外交政策の基本的な流れは、①孤立主義、②国際協調主義、③単独行動主義の三つ。
孤立主義は南北アメリカの情勢は守るが、ヨーロッパを含めた国際政治には干渉しないという建国以来の方針。国際協調主義は冷戦中の西側陣営との協調、単独行動主義は冷戦崩壊後でソ連というライバルがいなくなった後の超大国イケイケ主義。
基本的に単独行動主義が最近はとれなくなってきている中で、どうするかという話。
イラク戦争以降にアメリカ一国では軍事行動や国際政治上であまり強く振舞えなくなった。
それは、『アメリカ後の世界』を著したザカリアによると、アメリカが弱くなったのではなくて、新興国が強くなったという流れになっているという。
新興国については、リーマンショック以降に金融緩和であふれたマネーが新興国に投資されたため、投資先国に内需型産業が育つ契機になった。つまり、下請けだけでなくて
、或る程度経済的に先進国への依存度が低下しているということ。
ザカリアによると、なんだかんだいって批判される国連だが、今の時代ほどアメリカがそれなりに国際法を意識する時代もないわけでそういう意味では単独行動主義に歯止めがかかっているという。
テロによる影響も911以降は経済で平常の状態に戻る期間が短縮されていき、戦争の数も世界的に減少している現状も紹介。
『「国家」の復権』を著した、元フランスの外相ユベール・ヴェドリーヌは、「世界市民」や「ヨーロッパ」という概念を国家という政治単位を基礎としている以上、実際に有効で正当性のある国家の間でのリアルポリティクスをきちんと機能させていかなければ、現実的な政治の問題には対処できないと警告する。
EU統合の立役者となった、元ドイツ首相のヘルムート・シュミットは、ヨーロッパを代表するドイツの政治家として、アメリカを分析する。
やはり、シュミットもザカリアもアメリカの最大の強みを「開放性」においていることは、興味深い。シュミットは自らのエピソードを交えてこれについて述べているので必読。
シュミットはアメリカの強みとして、軍事力だけでなく、民主主義と基本的人権に対する素朴なまでの信仰、英語という言語を握っていること、何より移民という国家の発展の原動力を支える寛容さをあげている。
シュミットの指摘ではアメリカについては、冷戦期の国際協調主義はあくまで特殊な時期で、もともと単独行動するのが本質であり、超大国の大統領という座がそう誘惑させるのだとも指摘。
最近のロシアと中国の拡張主義についても国際政治の秩序が変わる時期だということは明らか。
とりあえずザカリアの著書が、インドと中国をあげて取り上げていていい。
シュミットはポイントがしっかりのべられていて、読みやすい。
ヴェドリーヌはすこしヨーロッパ政治よりなのだが、言っている内容は踏まえておくといい。
追伸
ザカリアさん、記事盗用で問題で起用停止されたみたいですが、この本自体はおもしろいのでお勧め。http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM11013_R10C12A8FF8000/