内的成熟のない言葉は無意味だ
今は情報がかつてないほど氾濫している時代で、言葉だけがムダにありすぎる、と思う。自分が本当に感銘を受けたりした原体験がなくては、浅い理解のみが飛び交い、
本当に理解したりコミュニュケーションしたりできないだろう。
実際、海外で働いて思うことは、話す内容について自分がどれだけ考えられるか、
そこだけが問われているのだということ。
第二次大戦後に海外留学生第一弾としてフランスでデカルトとパスカルを学んだ、森有正氏による『生きることと考えること』(講談社現代新書)を読んでそう思った。
この本はフランスに留学した森氏が、日本とフランスの違いにより浮き彫りになった問題意識を語っている。優れた日本論であるとともに、ものを考えることについて
本質的な議論がなされているので、必読。講演形式なので読みやすい。
ちなみに、森氏は学校令を公布の中心人物だった森有礼氏の孫。