アジアで就職したらブラック企業だった~南の島は蟹工船~

東南アジアでブラック企業に就職し、ストレスから入院し逃げ帰ってきた人間のブログ。        注・このブログはモデルとなった現地企業で働く人々などへの取材をもとにしたフィクションです。ただ、実際に起きている「空気感」は本物です。その辺りを味わっていただければと思います。

選んではいけない会社、3つの条件

 今回はアジア就職における会社選びの条件を3つ書こうと思う。

 前提として、シンガポール以外の途上国への就職は基本的に様々なリスクをともなうと考えた方がいい。理由は簡単。後進国だから。安全や衛生についてはもちろん、経歴として後々生きてくる職業経験を、特に後進国の現地法人から社会人経験を積み始めた人の場合、積みにくいからだ。時間はゆっくりしているし、レベルの高い日本人も少ないなどの環境などで、日本以上にまともな水準で見ていい仕事ができるとは考えにくい。

 ここでは、私は後進国という言葉を確信犯的に使う。教育水準やインフラの状態などを考えると、後進国といった方がリアルだからだ。変な政治的な正しさ(PC)はこの際、何の役にも立たない。やはりお金が集まるところに優秀な人々や優れたものが集まるのは否定できない事実なのだ。

 

 本題に入る。まず「金がない会社には入るな」。これは鉄則。身もふたもない言い方をすると、当局に対するワイロがきちんと払えるから。いきなり何を言い出すんだというかもしれないが、外国人が後進国で働く場合、「外国人でなければならない理由」というものがなければ労働ビザは出ない。しかし、実際のところ、そんなにぴったりした理由などある方が少ないし、とりあえずの理由をでっち上げて申請するケースがかなり多い。新卒で職業経験がない人が働く場合などその典型だ。

 実際、後進国だと、法治国家ではないので、コネがモノを言う。つまり、「当局に強い人」、(一般的にエージェントと呼ばれる)を雇っておかないと、雇用面では手続きがまともに進まないのだ。「書類をなくした」、「上司が異動したから手続きをやりなおせ」、「ワイロが少ないぞ」など、日常茶飯事。だから、後進国において企業経営のキモは、いいエージェントをしっかり捕まえておくことになる。エージェントに対する報酬はピンキリだが、月に日本円で40万以上払うケースもあり、「実績」のあるエージェントほど高額だ。

 このことを前提として考えると、月に40万円くらいのエージェントを雇って、ビクともしないためにはかなりしっかりした経営基盤が必要になる。

 また、労働ビザについても、インドネシアの場合、一人につき月100ドルとインドネシア人労働者を何人か雇わないといけない。

 このように、後進国で企業経営するためには、かなりのコストが発生するのだ。

 このブログを読んでいる雇われる側の人々にとって重要なのはビザであって、これがきちんとしてないと、当然当局に捕まる。ビザの申請期間についても、いい現地法人なら2週間から1カ月程度で出るが、ダメな会社の場合、1、2年かかる。この間は当然観光ビザ、または出張ビザという、「不法労働者」の身分で働くことになるのだ。

 これは経験のない人にはわからないかもしれないが、かなり怖い。自分が何も悪い事はしていないにも関わらず、警官が通ると「逮捕されないだろうか?」とか不安がよぎるのだ。

 今までを読んでいただいて、ご理解いただけたと思うが、従業員をこういう不安定な身分で不法に働かせる会社がろくでもないというのは言うまでもない事だ。結局カネがない会社はビザに限らず、色々な面でアブナイのである。

 

 次の条件は、「離職率の高い会社には入らないこと」だ。まず日本でも同じ事だが、普通、いい会社なら社員の勤続年数は長くなるはずだ。反対も然り。中身にもよるかもしれないし、海外就職は日本に戻る人も多いが、一つの基準として確認しておくこと。

 

 最後は「集合写真のある会社には入らないこと」だ。こういう会社は体感的にかなり怪しい。要するに理念がないから単に集まりを強調するのだ。ちなみにJ社も何かあるたびに、集まって集合写真を取っていた。