アジアで就職したらブラック企業だった~南の島は蟹工船~

東南アジアでブラック企業に就職し、ストレスから入院し逃げ帰ってきた人間のブログ。        注・このブログはモデルとなった現地企業で働く人々などへの取材をもとにしたフィクションです。ただ、実際に起きている「空気感」は本物です。その辺りを味わっていただければと思います。

あなたは太陽王なんですね!?J社版、王権神授説

 J社のエピソードで、面白いものをいくつか紹介しようと思う。同年代で最も社歴が長く、部長よりも確実に優秀で実質的に部長として働いていた、T君について書こうと思う。

 T君はことあるごとに部長と対立していた。色々理由があるらしいのだが、基本的には入社したころ、まだネットが海のカーテンを本格的に取り払う前に彼は周囲が部長の取り巻きで仕事のやる気のない「出来ない人」の中でいじめられたことに端を発する。190センチを超える彼の身長が目立ったこともあったのか、出身大学が同じでも学部が上位だったからか、部長は彼に露骨にきつく当たり、車で往復4時間もかかる工業団地への出張を命令しまくった。来る日も来る日も彼は朝から起こされ、イスラム式の羊の頭を地面に埋める式典にほんの少し参加し、出席したお偉方にご挨拶した後、2時間かけて会社に戻る。その後、報告会というものがあって、そのための資料を作成し、夜に会のプレゼンが終わるまで、働くというサイクルを繰り返した。その結果、彼は盲腸になった。気の強い彼はできるだけ耐えたが、脂汗が体から溢れ出たため、入院した。(私はこのエピソードを聞いて、きわめて犯罪的であるとともに、仮にイギリスであれば、数億円の賠償金を請求できるケースだと思った。後々、業務部長にこの件について話したら、「彼は病気の身をもって頑張ってくれたから、きちんと入院させた」と。まず、病気で脂汗の出るような状態の人間を働かせてる時点で終わっているが、病気で働いたから入院費を払ったという論理を平気で出せる辺りが、「ダメな日本人世代」のオヤジ。要するにまともな会社でまともな仕事をしていないからこうなる)

 

 まあ、こういう状態だから恨みを持っても当たり前だと思うが、ある日、部長とT君がいつもとは違う荒々しいテンションで喧嘩していた。新しいコンピューターソフトを導入するかどうかでもめていた。

 

 T「いいですか?確実に仕事の効率が上がるソフトがたったの3万円で買えるんですよ?とりあえず投資してみればいいじゃないですか!」

 部長「そのたった3万円の投資で失敗したらどうするの?責任は君がとるんじゃないんだよ!」

 T「あのね、物事ってのは始めないとわかんないでしょ?何のリスクもとらずに新しいことなんてできないですよ!」

 

 こんな感じで議論は平行線のまま、T君は2メートル近くある長身で片手に新聞紙を持ちながら、部長の机をバンバン話しながら圧力をかける。部長は理屈になっていない理由を話しているが、「要するにてめえが嫌いなんだよ」とT君と対する。こうした不毛な争いが1時間くらい続いた結果、、、。

 

 部長「もう、議論なんて無駄だ」

 T「なんで?理由はなんですか?」

 部長「俺が部長だからだ」

 

その時、T君の目つきが変わった。

 

 T君「あのねえ、あんた太陽王なのか?」

 部長「へ?」

 

周囲のデスクで一部始終を聞いていた全員がいぶかしげにみた。「太陽王???」

 

 T君「自分の存在だけで正しいって言えるのは、太陽があんたを選んだって王権神授説なんだよ!フランス王族か、お前!」

 部長「フランス人じゃねえよ、俺は!とにかくお前の理屈は意味わからん。終わりだ、終わり。」

 T君「ふざけんな!」新聞紙を誰も座ってないデスクにぶん投げた、、、、、、。空段ボール箱の山、崩壊。。。

 

 インテリらしいT君のけちの付け方をあなたも参考にしてみてください。