アジアで就職したらブラック企業だった~南の島は蟹工船~

東南アジアでブラック企業に就職し、ストレスから入院し逃げ帰ってきた人間のブログ。        注・このブログはモデルとなった現地企業で働く人々などへの取材をもとにしたフィクションです。ただ、実際に起きている「空気感」は本物です。その辺りを味わっていただければと思います。

「完全な社会」など、ない

●海外就職で学んだこと

 

 海外に出て一番良かった事は、日本社会が必ずしも唯一の社会ではないということを知れたということ、そして「完全な社会」はないということを知ったことだ。海外就職をする前の私は、日本がいやでいやで仕方なかった。もともと理屈っぽい私はいわゆる日本社会の不合理なルールだとか納得のいかないことが多すぎて、とてもではないが居心地がよくなかった。元々、東日本大震災がなくてもいつかは海外で働く機会を求めていたように思う。

 基本的にそれは変わらないけれど、インドネシアのいい加減な社会を見て、「人間が生きていくのはこれほど自由なことなんだ」と思えたし、逆に嫌な面も多く見る事ができた。おそらくインドネシア人の中にも私と同じ様に社会の中でいらだちを感じている人々がいる違いないことも。

 私は海外就職をするまで、「自分にとって完全な社会」をイメージしていたのだと思う。ただ、人間が生活して社会をつくっていかなければならない以上、うっとおしい他人との関係は持たなければならないし、どの社会だって問題はあるのだ。そういう意味では、自分が変わるしかない。できなければ、自分を受け入れてくれる場所を探すしかない。そして、私の場合は会社の同僚とインドネシアの人々が私を変えてくれた。日本人は真面目だから「これがダメならダメだ」とすぐ悲観するが、特攻精神はさっさと捨てましょう。

 働くことと旅の違いは、マイナス面も引き受けなければならないこと、つまり責任が発生すること。そういう厳しさの中でないと学べないことは多い。