アジアで就職したらブラック企業だった~南の島は蟹工船~

東南アジアでブラック企業に就職し、ストレスから入院し逃げ帰ってきた人間のブログ。        注・このブログはモデルとなった現地企業で働く人々などへの取材をもとにしたフィクションです。ただ、実際に起きている「空気感」は本物です。その辺りを味わっていただければと思います。

日本を「空売り」せよ!

 私は基本的に日本の地位は下がると思ってる。理由は簡単で世界の情勢が変わったから。昔は冷戦があってアメリカの最前線基地としての位置づけがあった上、他のアジア諸国での経済的な発展が脅威になるレベルではなかったので経済的にほぼアジア地区全域で特権を享受できた。インドネシアスハルト政権はCIAが生み出し、日本はスハルト体制の下で32年間の独裁時代に手を握って「安定した」関係を作ってきたわけだ。

 しかし、現在は冷戦が終わり、韓国や中国、インドなどアジア諸国の経済的な発展は著しい。つまり多極化の時代に入った以上、新しい外交なり戦略が必要となったのだ。

 私は現地で働いて駐在員の方々とお話をする機会が少なくなかったが、はっきりいっていつの時代の話なんだろうと首を傾げることが多かった。「日本が橋を造ってやったのに、中国の車両を買うとは何事か」ということを臆面もなく言うゼネコン社員もいたし、相変わらず「インドネシア人は馬鹿」の一点張りの人も程度の差こそあれ多かった。

 私たちの海外就職事情が必ずしも日本企業の進出度合いにあわないのは、こうした日本の大企業などの「冷戦時代から抜けれない頭の固さ」にかなりの部分問題があるように思う。

 私はそういう日本の頭の固さを踏まえた上で、このブログを書こうと思ったのだが、それははっきりいえば、日本の信頼が続く間に「日本を空売り」することを勧めたいからだ。ポジショニング戦略と行ってもいい。日本が力が落ちる前に、味わえる経験などの含めて、自分のものにしていくこと。それは出来る限り良い経験である方がいい。

 実は、冒頭に書いた「老人が国内の物価に着いて行けなくて、老人ホームにも入れないから東南アジアで過ごすことになる」ということについては、ヨーロッパの老人がすでにモロッコに移住をし始めている。もちろん今は主体的に決断して移住する人が多いが、実際には自国通貨では老後が安心して過ごせないので、物価の安い途上国に「棄民」されるという図式が出ているのだ。東南アジアでもゆったり過ごせればいいや、と思うなかれ。年をとってから途上国に住むなんてかなりしんどいことは言うまでもない。お金持ちは豪華な老人ホームに住めるだろうが、そうでない貧乏組は現地の人々と変わらない形で節約しながら住んで行く事になるだろう。しかも、もしその国で政変や暴動があったとしたら、身の危険が危ない。年を取っているから逃げ足も遅いし。犯罪者からすれば、格好の仕事場になるかもしれないのだ。(と、あおってみる)