アジアで就職したらブラック企業だった~南の島は蟹工船~

東南アジアでブラック企業に就職し、ストレスから入院し逃げ帰ってきた人間のブログ。        注・このブログはモデルとなった現地企業で働く人々などへの取材をもとにしたフィクションです。ただ、実際に起きている「空気感」は本物です。その辺りを味わっていただければと思います。

2014-06-02から1日間の記事一覧

基本的に「欧米」は軍事力をもちたがる

『ネオコンの論理』と『アンチ・ネオコンの論理』の二つを読み比べて思うのだが、 アメリカは自国による世界秩序の安定しか想定できないということと、ヨーロッパも軍事力を影響力の拡大のために持ちたいということ。 日本で最近集団的自衛権がやかましいの…

三人称不在の国

先日に続き、森有正著『いかに生きるか』(講談社現代新書)を取り上げる。 「経験」については以前話したから、今回は日本語、日本社会の人間関係の基本となる概念について。 森氏によると、日本語では必ず相手との権力関係の中での具体的な二人称にしかな…

ヨーロッパのやりかた

先日取り上げた 『ネオコンの論理』(光文社)は軍事力というハードパワーの存在を軸に世界秩序におけるアメリカの重要性をのべ、唯一の超大国となったアメリカが他に頼らなくてもやっていけること世界秩序の認識として提起した。その中で核の傘に守られてき…

すべて一夜限りの恋人たち    

「すべて真夜中の恋人たち」(講談社、2011)は、水野くんという男性による女性への鬱屈した復讐譚である。 長野県出身の彼は高校時代、特に頭がよいわけでも容姿に優れているわけでもなく、家でレコードをひっそりと聴くのが楽しみの平凡な毎日を送り、…

「男の中の男」にはアレがない

フロイトいわく「男らしさ」は「男根の不在」によって完成するらしい。「真の男は女などに惑わされない」というわけだ。映画「ターミネーター」が、性欲がなく、冷静で淡々と完璧に任務を果たすアンドロイドを理想の父親として描くのもそのためだろう。兵器…

故郷の下の血と骨

普通、故郷という言葉は「暖かい」とかいった肯定的なイメージで通っている。そういう側面は確かに存在するけれど、その「暖かみ」が無知や無関心の上に成り立っているのではないのか、と中上健次著『紀州 木の国・根の国』(角川文庫、1980年)は問いか…

噛みつかれてナンボ

エライとは何だろう?地位が高いこと?社会に何らかの実績を残したこと?私から言わせればどちらも違う。噛みつかれることだ。それもまっとうな根拠を付けられた上で。 竹中労著『エライ人を斬る』(三一書房、1971年)は各界のエライ人に根こそぎ噛みつ…

屈折した反逆心

『日本の歴史をよみなおす(全)』(網野善彦著、筑摩書房)は、普通日本で教育を受ければ持つであろう「男性中心の自給自足の農業国家」という歴史観に対して根本的な疑問を叩きつけた挑戦的な本である。語り口こそ柔和であるが、マジョリティの「正しい」…

ポルノグラフィティとしての洪作 

『しろばんば』(井上靖著、新潮文庫)の舞台は戦前の静岡県のとある山村で、洪作という少年が主人公だ。彼は実の両親から離れ、曾祖父の妾であったおぬい婆さんと二人で祖父母が持つ土蔵に住んでいる。生まれた後、洪作がおぬい婆さんになついて彼女が住む…

風の吹くまま、人の死ぬまま

これは、「3・11を振り返って」という課題です。 人間の思考と生まれ育った風土とはどの程度関係があるのだろうか。北アフリカやイタリアの貧乏人が不思議と不幸せそうに見えないと聞いたことがあるが、地中海では「太陽が平等に照らす」(アルベール・カ…

親殺しの文学

『風の歌を聴け』(講談社、村上春樹著)は、喫茶店でかかっているムード音楽のような小説だ。なんとなく人の気を引くような、誰でも共感できる作りになっているが、店を出た後何かが残るかというと何も残らない。饒舌なくせに無内容な本なのである。 主人公…

グ~っとくる喜朗

この本は実在しません。 日本は腹時計が支配する非常にいい加減な国になった。これが話題の元首相森喜○著、『テロリズムの原点~時間破壊~』(主婦の友社、2025年)である。 舞台は近未来のサラリーマン国家日本。年間自殺者数が100万人を超え、うつ病患…

私の若かりしころの文章

私が某文章教室でやっていた課題作品を公開する。 とりあえず、いろんなジャンルにわたるので、見せてもまずくなさそうなものを あげます。

『これであなたも谷崎潤一郎!!!』(笑)

西田幾多郎著『論文の書き方』(岩波新書)は、文章作法の基本的な心構えなどが書かれた「文章読本」としては良くできた本である。「が」の使用範囲が広いため使い方に注意しようという技術的なことが書いてあるかと思えば、「文章とは観念の爆発である」な…