アジアで就職したらブラック企業だった~南の島は蟹工船~

東南アジアでブラック企業に就職し、ストレスから入院し逃げ帰ってきた人間のブログ。        注・このブログはモデルとなった現地企業で働く人々などへの取材をもとにしたフィクションです。ただ、実際に起きている「空気感」は本物です。その辺りを味わっていただければと思います。

2014-05-01から1日間の記事一覧

小説⑤~「俺、実は辞めるんです」、到着初日に告白される~

日本で言えば、銀座にあたるだろうか。オフィスから程近い繁華街の裏にあるコスに着いた。オランダ風といえばいいだろうか。モルタル製で部屋は30室ほどある7階建ての建物だった。 まず、大家のイブ(インドネシア語で年上の女性に対する敬称)に挨拶。そ…

小説④~漆黒の女、H~同僚と顔合わせ

車はジャカルタの目抜き通りを走り、オフィスの入っている高層ビルに着いた。車の中に爆発物などがないか、ゲートで警備員がチェックする。チェックが済み、私はT部長とともにオフィスに入った。 オフィスでは納期の直前だったこともあり、従業員、つまり同…

小説③~「男性器」を通って・ジャカルタ到着~

小説③ 〜ジャカルタ到着〜 一人で飛行機に乗る事に慣れていない私にとって、道中は胸が高まった。「どんなところなんだろう」、「インドネシア語を覚えよう」など期待に胸が膨らんだ。 私の思いをよそに、飛行機は淡々と航路を進み、目的のスカルノ・ハッタ…

小説② 〜「南方になんて行くのか!お前!」と父に罵られ〜

私はJ社に内定をもらい、両親に報告した。それを聞いた父は開口一番、「お前!南方なんていくのか?ジャカルタ?危ないぞ!」とやめるよう諭された。私はインドネシアには基本的には銃は出回っておらず、それなりに安全だと思っていたこともあり、それを説明…

小説① 発端〜地獄の幕開け〜

その日、私は池袋にあるビッグカメラの前で待ち合わせをしていた。インドネシアの自動車部品メーカーJのTという部長と面接をするためだ。 1時間ほど前から待っていた私はTを難なく発見できた。日本人の中年男性にありがちな、「オジさん」的なカタい雰囲気…

契約書が、ない!?

さて、フィリピンパブの回ではパスポートが問題になったが、労働契約の基本である、契約書がJ社にはなかった。 おいおい、マジかよ!と驚くなかれ。実際、そうだったんです。 まあ、これをご覧の皆さんの中にも契約書がない状態で働かされている人もいるか…

J社はフィリピンパブだった!

このブログでもうおなじみのJ社だが、フィリピンパブ顔負けの悪質な組織だった。 まず、パスポートが取り上げられて、従業員は携帯していない。 そんなことありえるの!?と疑問を持つのも無理はない。 私だって信じられなかったんだから。 もっと正確に言…